スポーツ庁が「部活動地域移行」の話を打ち出して、今後の部活動やクラブチームのあり方について考える機会が増えてきた。
学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン(概要) (PDF:524KB)
各地域でもクラブチームの数も増えてきている。
それに伴い、ミニバスケットボールから次に進むステージとして、「部活動」なのか「クラブチーム」なのかを迷う選手や保護者も増えてきた。
このページでは、そんな選手や保護者への参考になるように「部活動」と「クラブチーム」の違いを並べてみた。
ただし、どちらがいいという話はしない。
人によってメリットやデメリットだと思うところは違うからだ。
客観的に比較できるようにしていてるので、参考にしていただきたい。
【運営・所属】
部活動
- 学校が管理や運営をしている
- 学校教育の一環として活動している
- 中体連や高体連に所属する
- 主にメジャーな種目(野球・サッカー・バスケットボール・バレーボール・テニス等)が多く、マイナー競技や文化系クラブは少ない
クラブチーム
- クラブチームやスクールもしくはプロチームのユースチームなどが地域スポーツ(社会体育)や営利団体として運営している
- 一部学校や自治体と連携しているクラブチームもある
- 各競技の協会や連盟もしくは地方自治体等に所属している
- マイナーなスポーツ(相撲・ダンス・フェンシングなど)や文化系団体(絵画・書道・楽団など)もあり、種類は多岐にわたる
【練習時間】
部活動
- 平日は放課後の1時間~1時間30分、週末は午前か午後の2~3時間程度
- 平日はおおよそ18時頃までには帰宅できるので、夜の時間が確保できる
- 週末は大会や練習試合などもあるが、その際土日のうちどちらかは強制的に休みとなる(公式大会に参加の際は別)
- 毎月第○日曜日、毎週○曜日は部活動停止と決めている自治体や学校もある(教員の働き方改革の一環として)
- 冬季は下校時間が早まり練習時間が30~45分ほどになることもある
- テスト期間中や学校行事に応じて強制的に休みになることがある
クラブチーム
- 平日の練習時間はおおむね2時間程度
- 学校施設を利用する場合、部活動が終了してからの活動となる
- ほとんどの指導者は昼間の仕事を終えて指導しており、また長距離移動で参加する選手もいるので、どうしても18時以降の活動となることが多い
- 平日の練習開始時間が18時以降だと、練習して帰宅するのが21~22時になる
- 練習開始時間が遅い分、下校後帰宅してからの時間が1~2時間ほどある
- 週末は練習以外にも大会参加や練習試合等の遠征が多い
- 人によっては1~2時間程度の往復の移動時間が発生する
【選手】
部活動
- その学校もしくは近隣学校の生徒が入部してくる
- 経験や能力に関係なく誰でも入部できる
- 学校内の生徒でメンバーを構成するので、大人数の学校と少人数の学校では部員数に差が生じる
- 人数が足りないこともしばしば
- 同じ学校内の選手なのでコミュケーションが取りやすい
- クラブチームへの移動手段や予算的なことを考慮して部活動に参加している選手もいる
クラブチーム
- いろんな地域から選手が入部してくる
- 経験値や能力の高い選手が集まりやすい
- 違う学校の生徒が集まっているのでコミュニケーションをとるために工夫が必要
- 初心者や経験値が低い選手には敷居が高いと感じるかも…
- 人気があるクラブチームだと人数が増えすぎて競争が激しくなる
- 人数が多いところは、「Aチーム・Bチーム」もしくは「U15・U14・U13」に分けてチームを編成している
【指導者】
部活動
- 学校の先生が顧問として指導している
- 例外として外部指導者を招聘している学校もある
- 未経験の先生が顧問として指導することも多く指導レベルにバラつきがある
- 学校の活動なので、教育的配慮・生活態度などもしっかり指導している
- 学校業務が多忙の場合、指導できない日がある
- 異動があれば3年生を最後まで指導することができない
- また転勤先では3年生を4月からの数ヶ月しか指導することができない
- 学校の先生たちとのつながりが深い
クラブチーム
- 経験や知識が豊富な指導者、熱心な指導者が多い
- コーチライセンスや審判ライセンスを積極的に取得してる指導者が多い
- 基本的に異動がなく長期的にそのクラブを指導している
- 教員ではない方も多く、教育的配慮や話し方・接し方において、レベルの差がある
- いろんな指導者やバスケ関係者とのつながりやネットワークを持っている場合が多い
【強さ】
部活動
- 意欲のある選手とそうでない選手のバラつきがある
- やはり人数が多い学校のチームのほうが強くなる傾向にある
- 顧問が専門ではない場合、高いレベルの指導が受けられない(外部指導者の招聘でカバーしている学校もある)
- 顧問の異動などもあり、毎年の強さは安定しない
- 強さを求めなければ誰でも気軽にバスケットボールを楽しむことができる
クラブチーム
- 意欲があり目的意識の高い選手が多いので、高いレベルの練習ができる
- 指導者が変わらず長期的計画にチームや選手を育成しているので、毎年ある程度の強いチームを作りやすい
【費用】
部活動
- 毎月の部費等は基本的には発生しない
- 個人のウェアや道具等の初期費用は個人負担
- 部活動に必要な経費は学校の予算から支出される
- 必要に応じて別途積立等があるかもしれない
クラブチーム
- 数千円から1~2万円ほどの入会金や月謝等が発生する
- ウェアや道具等をクラブが指定するものを購入する場合が多い
- 施設利用料・遠征や移動にかかる費用等、別途徴収される費用がある
- 活動に必要な経費等は、入会金・月謝・スポンサー料等、各団体が徴収した中から支出される
【活動期間】
部活動
- 1年生は入学式以降の入部となる
- 4月は部活動体験期間や入部手続き期間等があり、実質の活動開始までに2~3週間のブランクがある
- 3年生は、毎年7月頃に開催される中体連をもって引退すれば2年4ヶ月ほど(28ヶ月ほど)、毎年9~10月頃に開催されるU15選手権大会の都道府県予選大会で引退すれば2年6ヶ月ほど(30ヶ月ほど)の活動期間となる
- 部活動を引退して高校で活動を再開するまでに6~8ヶ月ほどのブランクが生じる
クラブチーム
- 1年生は4月になればすぐ入部して活動できる
- 規定では満11際以上から入部できるので、ミニバスケットボールクラブを卒部してすぐ2~3月のうちに入部している選手も多い
- 学校行事に考慮することなく活動しているので、年間を通して決まった時間で練習している(クラブチーム側の都合でお休みになることはある)
- 3年生は、毎年9~10月頃に開催されるU15選手権大会の都道府県予選大会で一つの区切りとなるが、大会後も引き続きクラブチームで活動をする選手が多いので最長3年間(36ヶ月)活動できる
【活動場所】
部活動
- その学校の施設を利用できる
- 自治体が管理している部活動では、地域の社会体育館を優先して利用できるところもある
クラブチーム
- 活動団体が自身で申請をして活動場所を確保する
- 社会体育館等を利用する場合、移動時間や利用料金が発生する
【学業】
部活動
- テスト期間や学校の行事に応じて部活動の休みを設けているので、勉強する時間を確保しやすい
クラブチーム
- 選手それぞれがクラブと学業の両立を目指すことになる
【問題点や課題など(私見)】
下記は私なりに感じてい点をいくつか並べてみた。
部活動
- 部活動地域移行の話がどこまで進んでいるのかがわかりづらいので、途中で部活動がどうなってしまうのか不安…
- 顧問が練習にいつも参加できていないときに選手たちだけできちんと練習できているか?
- 部員数の減少で活動が成り立たないチームも出てきている
- 3年生が部活動を引退した後のブランクがもったいない
- ミニバスの選手たちが部活動でお世話になっていることは大変感謝している
クラブチーム
- 「能力の高い選手だけ集めるチーム」と「育成を目的としているチーム」の2極化がどうなるか…
- 選手の取り合いでチーム間で問題を起こさないか…
- 金銭面や時間的な余裕がない選手がクラブチームでも活動しやすい環境づくり…
- ミニバスのエースたちが集まった場合、選手たちをキチンとまとめていける指導力があるか…
- バスケットボール人口が減っていくことにならないか…
- いつまで続けられるか… →クラブ運営者の都合でクラブチームはいつでも解散できる
- 後進の指導者(運営者)の育成
部活動改革ポータルサイト ~学校部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行(地域移行)に向けて~:スポーツ庁
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